位相ってなに?ノイキャンの原理

雑記

みなさんこんにちは。りーほーです。

さて、AppleよりAirPodsProが発売されて、そのノイキャンと外音取り込みの凄さが話題になってますね。

今回はノイキャンことノイズキャンセリングについて紹介してみたいと思います。

ノイキャンの原理を知ることは音のさらなる理解につながるよ!

ノイズの正体

まずは、ノイキャンの対象となるノイズの正体についてです。ノイズノイズと言いますが、ノイズってなんなんでしょう。

ノイズには何個か種類がありますので、まずはここを解説してみます。

環境音的なノイズ、 いわゆる外音

一般的に、ノイキャンで消せるノイズはこれです。

環境音とは、周りの音です。電車の音、風の音、他人の話し声など。

これらは環境音と言われます。普通に歩いてたら当たり前の音ですが、イヤホンをして音楽を聴こうとするときには邪魔だと思う時もありますね。

ノイズとは、雑音という意味です。もっというと、その時に不要な情報を雑音(ノイズ)と呼ぶのが良いかもしれないですね。

ただ歩いている時は、周囲の音も身を守ったりする上での必要な情報です。

ただ、電車の座席やデパートのベンチなど、(ある程度)安全な場所において音楽を聴きたい時。電車の走行音や他人の話し声などは、音楽に集中したい自分にとっては不要な情報と言えるでしょう。

ノイキャンは、こういった類いのノイズを消してくれる機能だと考えてみてください。

電気的なノイズ

電気的なノイズとは、例えばiPhoneとAirPodsProをBluetoothで繋いで音楽を聴く環境があったとして、なんらかの理由によりiPhoneやAirPodsPro自体から発せられたノイズです。(あくまで仮定)

これらのノイズはノイキャンでは消せません。というより、「一般的なイヤホンについているノイキャンでは消せない」というほうが正しいかもしれません。

理由は後述します。

ノイズキャンセリングの種類

ノイキャンには2種類あります。

パッシブのノイズキャンセリングと、アクティブのノイズキャンセリングです。

パッシブノイズキャンセリング

パッシブ とは、受動的 消極的 などと和訳されます。

DAW 、音響、楽器などの世界では、パッシブは「電力を使っていない」みたいな意味で使われます。

つまりパッシブノイズキャンセリングとは、カナル式イヤホンなど、物理的に環境音的なノイズを遮音する方式です。

アクティブノイズキャンセリング(デジタルノイズキャンセリング)

アクティブとは、積極的 というような意味ですね。

DAW 、音響、楽器などの世界では、アクティブは「電力を使った」みたいな意味で使われます。

エレキベースの場合は、ベースの音を拾うマイク( ピックアップ と呼ぶ)に電池を利用するタイプのものをアクティブベースと呼びます。電池を使う分パワフルでノイズが少ない傾向にありますが、アクティブ特有の音なので好みは分かれます。

ノイズキャンセリングにおけるアクティブタイプのものとは、外の音をマイクで取り込み、イヤホン内蔵の プロセッサー で外の音を打ち消す音を流しているんですね。

原理については後述しますね。

ノイズキャンセリングの原理

いやいや、そんなこと知っとるわい という意見もありそうですが突き進みます。

カナル式がなぜ遮音できるのかは理解しやすい思いますので、本記事ではアクティブノイズキャンセリングの原理について紹介しますね。

ちなみに、アクティブノイズキャンセリングの説明については、Appleのホームページでは、「アンチノイズ機能で外部の音を消し去る」と書かれてます。今回書くのは、このアンチノイズについてです。

アクティブノイズキャンセリングの原理を説明するには、 位相 について説明しなければいけません。

位相とは

位相(いそう、 phase )とは、繰り返される現象の一周期のうち、ある特定の局面のこと と、Wikipediaには記載がありました。

うーんなるほど。わからん。

これは高校物理で習う範囲だと思います。しかし思いっきり文系のぼくには、高校物理を解説する頭はございません。

この記事では、ノイズキャンセリングに絡めて、音の位相について最低限のことを解説したいと思います。

音は振動であり波である

さて、音とは空気の振動です。みなさんが声を発する時、喉が震えて、その震えが空気振動となり、相手の耳に届いた時に初めて相手に音が伝わります。

とても良い解説画像があったので紹介します。↓

https://hochouki.soudan-anshin.com/cont/sound/より引用

音を発すると、↑の図1のように、密度の濃い部分と薄い部分を繰り返した「空気の振動」となり、空気中を伝わっていきます。

音には、高さ(音程)があります。成人男性の声は低く、女性や子どもの声は高い。その音の高さを、数字で表すことができます。単位は Hz (ヘルツ)と呼びます。

そしてその高さによって、上にある画像で言う図1の「音の密度」の、密度の濃い部分と薄い部分の長さが変わります。それを視覚的にわかりやすくしたものが、その下の図2の波ですね。

密度が濃い部分と薄い部分を波で表しています。

音が連続して流れていると、↓のように波が連続して発生することになります。

位相とは(再び)

ここで先程のWikipediaの言葉をもう一度思い出してみましょう。

位相(いそう、 phase )とは、繰り返される現象の一周期のうち、ある特定の局面のこと

つまり、↓こんな感じです。

繰り返される波のうちの一周期を位相と呼びます。

Y軸の波の大きさは音量を指し、X軸は時間を表します。

位相がズレる とは

位相のX軸は、90°や180°などの度数で表します。360°で1周期です。

ちなみにこの位相、1秒間で360°1周期×周波数(Hz)分繰り返します。100Hzならば、1周期を1秒間で100回繰り返すということですね。つまり1周期は1/100秒です。

位相がズレるとは、このX軸の度数がズレた状態のことを指します。

ノイズキャンセリングの正体

では、この位相を180°ズラしてみたらどうなりますでしょう?

この↓とある周波数の位相を

180°の位置からスタートさせてみると↓

まったく逆の位相となりますね。

これを逆相と呼びます。

この二つの音を組み合わせると、

このような状態となり、

音を打ち消し合います。

超簡単に言ってしまうと、これがノイズキャンセリングの原理です。

1秒間で音は約34,000cm進むので、100Hzの場合、位相1周期は34,000×1/100=340cm。

180°はその半分なので、100Hzで考えた場合、音の発生源が約170cm前後にズレていると、逆相の関係となり音を打ち消し合う事になります。

ノイズキャンセリングイヤホンの原理

ノイズキャンセリングのイヤホンは、ノイズと呼ばれる周りの環境音をマイクで取り込み、その音を内部のプロセッサーで逆相の音(Appleの言うアンチノイズ)へと変換し、再生音に混ぜ込むことでノイズを消しているわけなんですね。

こういう原理なので、再生メディアや再生機やイヤホン本体からの電気的なノイズが出ていた場合は、キャンセリングはできませんので注意してくださいね。

市販のノイキャンイヤホンが突発的な音や高音に弱い理由

さて、前の項目ではとても綺麗な波で位相を説明してきました。

ですが、実際には世の中に溢れている音はあんなに綺麗な波じゃありません。いろんな周波数の音が混ざり合っているので、↓こんな感じでグチャグチャな波なんですね。

いきなり汚い図ですみません。

このようなグチャグチャな波の中には、低音から高音まで様々な音が含まれています。

先ほど、位相は1秒間で周波数分繰り返されると書きましたが、1000Hzとか5000Hzくらいの高音になると、1秒で1000回とか5000回位相1周期が繰り返されるわけですね。

1000Hzだと1周期は1/1000秒です。ノイズキャンセリングは、リアルタイムで外音を取り込み、その逆相の音を作り出しているわけですが、1000Hzの音を打ち消すには、1周期1/1000秒(1 ms )で過ぎてしまう音の逆相の音を作らなければならないわけです。5000Hzならその1/5です。

が、イヤホンに搭載されているプロセッサーの処理能力的に、1/1000秒とか1/5000秒で逆相の音を作り出すことはおそらく不可能かと思われます。

というわけで、現在の技術では、ノイズキャンセリングは、グチャグチャな波の中でも、主に中音域〜低音域のノイズを、逆相を用いてキャンセリングしている機種がほとんどかと思われます。

瞬間的に出てくる音や高い音は不得意ですが、電車や飛行機など、低音域〜中音域が一定期間続くようなノイズはノイズキャンセリングの得意分野なわけですね。

位相ムズい

位相を説明するの、難しいですね…。ぼく自身、わかったつもりでも、人に説明するとなるとあやふやな部分が多かったりしました。

ま、メインはノイキャンについてなので、とりあえず人と話すときには

「ああ、ノイキャン?あれはね、外音の逆相の音をイヤホンから流して打ち消してるんだよ。(ドヤ顔) 逆相だよ逆相。わかる?あとは調べてみな(ニッコリ)」

と言ってみましょう。たぶん嫌われます。

嫌われたくなけれ高校物理と数学をしっかり学びましょう。ぼくも生まれ変わったらがんばります。

 

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